医療法人恭青会の情報メールマガジン
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風清らかな初夏を迎えましたが、お変わりございませんでしょうか。
風薫る五月、お健やかな日々をお過ごしください。

 

さて、前回のメルマガでは政府の医療デジタル化政策の根幹と、その促進策として設定されたDX加算についてお話ししました。DX加算はオンライン請求の実施、オンライン資格確認、電子処方箋の発行体制の整備、電子カルテ情報共有サービスの活用体制を柱と定めました。マイナ保険証の利用は医療のDX化の根幹をなすため、政府は利用率の向上に躍起になっています。
しかし利用率は低迷したままで、2025年2月の利用率が26.62%と、1月の25.42%からわずかに1ポイント上昇したものの、昨年12月(25.42%)に従来の健康保険証の新規発行が停止されて以降、完全に伸び悩んでいます(4月3日付 日経新聞)。

利用低迷の理由の一つにマイナンバーカードの制度上の問題が挙げられています。マイナカード取得の手続きが煩雑で時間がかかることに加え、カードに機能が満載されているため、利用機会の分かりづらさも挙げられています。
例えば健康保険証、身分証明、電子署名などの役割を担うものの、それぞれに多重のパスワードが必要であったり、有効期限が設けられていたりします。そのため実際に使う場面になるとパスワードを覚えていなかったり、期限が切れていたりと非常に不便です。そのたびに役所に出向き再設定を行うなど、使うたびにトラブルが生じると人々が感じても不思議ではありません。
そもそも、さまざまな場面で異なる条件のパスワードが要求される現代で、久しぶりに使うカードのパスワードや有効期限を覚えているはずもないと私個人は思うのです。

DX加算ではマイナ保険利用率に応じて診療報酬が加算されますが、本年4月からその利用率条件が大幅に引き上げられました。最も高い「加算1」では利用率45%以上、真ん中の「加算2」でも30%以上が条件となっています。しかし、前述の平均値を見る限り、おそらく大多数の医療機関は最も低い「加算3」(15%以上)もしくは加算自体が取れないような利用率ではないかと思います。
せっかく設備投資しても加算が取れない可能性が高く、これがさらにマイナ保険証利用のモチベーションを下げる結果となっています。マイナ利用率向上は電子処方箋交付と政策上密接に関係しており、医療側の意欲がそがれた場合、電子処方箋導入も非常に危ういものになってきます。

本年12月には従来の保険証が完全に廃止される予定のため、マイナ利用率は今後向上するだろうと楽観視する意見もあります。しかし、マイナ保険証がなくとも資格確認書などの救済策があるため、実際はさほど伸びず、紙の保険証が資格確認書に変わるだけという可能性がないわけでもありません。

次回以降は、電子処方箋や電子カルテ共有など、医療インフラの根本を変えかねない問題についてお話ししていきます。

 

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理事長 生野 恭司
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