医療法人恭青会の情報メールマガジン
正しく表示されない場合はこちら
contact@kyoseikai.com

晩秋の気配を感じる頃となりましたが、日中はまだ穏やかな陽気が続いています。
寒暖差の大きい時期ですので、どうぞご自愛ください。

さて、日本の医療は、国民皆保険制度のもとで「平等な医療提供」を理念としてきました。しかし、経済原理が働きにくく、医療施設の赤字が慢性化しているのが現状です。
主な要因として①医療の構造的非効率、②物価・人件費の上昇、③円安による医療材料費の高騰、④公的支援の削減が挙げられます。

 

第一に、医療は国が診療報酬を一律に決めているため、価格競争が起こらず、利益率を自由に調整することができません。救急・小児・産科など、採算の取れにくい分野を担う医療機関ほど経営が厳しくなります。また、医療行為は人手依存が高く、電子カルテやレセプトなどの事務作業が煩雑なため、医師や看護師の労働効率が下がっています。こうした構造的な非効率が、医療の生産性を長期的に低下させています。

 

第二に、物価と人件費の上昇です。エネルギー費や物流費、検査試薬などが高騰する一方で、診療報酬改定は抑制的であり、収支のバランスが崩れています。さらに、人手不足によって看護師やコメディカル職の賃上げも避けられず、給与を上げれば赤字、抑えれば離職という悪循環が続いています。

 

第三に、円安の進行により、輸入に依存する医療機器や材料費が急騰しています。MRIやCTなどの大型機器だけでなく、ディスポーザブル製品の価格上昇も日々の経営を圧迫しています。報酬体系に反映されにくく、医療機関の自己負担が増えているのが実情です。

 

第四に、特に公的病院への補助金削減も深刻です。地方自治体の財政悪化により、運営費補助や交付金が縮小されており、慢性的な赤字を抱える病院ほど打撃を受けています。公立病院は地域医療や救急医療を支える最後の砦である一方、収益性が低いため、補助金が減れば人員削減や診療機能縮小に追い込まれるおそれがあります。

こうした医療の非経済性を克服するためには、単なるコスト削減ではなく、構造的な改革が必要です。
まず、デジタル化と自動化を進めて事務負担を減らし、医療従事者が診療に専念できる環境を整えることです。
次に、地域連携と機能分化を進め、設備や人員の重複を避けることが重要です。
さらに、自由診療や健診・予防医療など、収益性の高いサービスを導入し、診療報酬への依存を減らすことも効果的です。

 

次号では、医療施設が効率化を求められるかを議論したいと思います。ただし、医療自体に極めて政治的な側面があるのに加え、新規参入などの規制が厳しいことから、可能な施策はかなり限定されると思います。

 

KYOSEIKAI Group

 
 

医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
-----------------------------

メルマガ編集部

contact@kyoseikai.com

Facebook
Instagram

医療法人恭青会 〒532-0023 大阪市淀川区十三東2丁目9-10 十三駅前医療ビル3階


Update Profile/Email Address