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新緑が美しく、さわやかな風が心地よい季節になりました。
まぶしい新緑のように、ますますの輝かしい活躍をお祈りしています。

 

さて、過去3カ月にわたり、医師の働き方改革についてお話ししてきました。

今年4月から今まで無制限だった医師の時間外勤務に対して、年間960時間の上限が設けられます。地域性や救急外来などが考慮され、場合により1860時間まで考慮されますが、管理側にも時間の把握や制限など厳しい条件が課されます。無制限の長時間労働など過酷な労働条件下で極度の緊張を強いられる医師にとっては喜ばしいことですが、「宿日直許可」や「自己研鑽」など、今までに指摘されてきた抜け道も存在し、上限規制が有耶無耶になる可能性も指摘されました。

今日は最後の締めとして、この働き方改革のもたらす影響を個人レベルでなく、社会レベルでどのような影響をもたらすのか、考えたいと思います。

 

一つ目は、病院経営への影響です。医師一人あたりの勤務時間を減らせば当然ながら勤務する医師数を増やすか、診療時間や科目に制限を加えてサービスを減らすかしかありません。もともと医師の確保に四苦八苦している地方での医師増員は、これまでも夢のような話でした。これから都会とも医師の取り合いが始まるのですから、増員はなおさら困難になることは自明です。
また、増員したとしても診療報酬が上がるわけではないので、人件費は増えても売上が増えることはないでしょう。すると今まで苦しかった病院経営がさらに苦しくなることも予想されます。診察時間の短縮や診療体制を整備すればするほど自分たちの首を絞めることになります。診療報酬についてはむしろ下げられる可能性も考えられるため、体制や規模の問題を含めて病院経営者にとってさらに頭が痛くなると思われます。

 

もう一つは、医科学のレベル維持の問題です。日本で書かれる医学論文のほとんどは医師によって書かれたもので、さらに言うと忙しい医師が時間外に研究している場合が多いと思います。もちろん、自発的に研究を行っておられる賞賛に値する先生方もたくさんおられますが、一部には上司からの指導や勧奨など、自発的とはいいがたいものも多く存在します。時間外勤務の制限により、こういった研究活動も今後厳しく管理されると思います。

 

日本の科学論文は以前、米中に次いで3位でしたが、現在はイタリア、フランス等の中堅先進国に抜かれ、10位以下となっています。昔の医学論文の多くは医師の献身的な時間外作業から生まれていたのでしょう。科学レベルと直結する論文数は特許や技術革新の源です。今後も日本の医学研究の退潮はとどまらないと感じます。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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