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春というのに寒い毎日がつづきますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

寒暖の差が大きい季節柄、くれぐれもご自愛ください。

 

さて、前回のお話では、今年4月から導入される「医師の働き方改革」についてお話ししました。他業種では残業時間が厳しく制限される傾向にありますが、人手不足や業態によって急激な変化が好ましくないとされる医療、運輸、建設業界では、5年間総残業時間の規制が先送りされ、今年度の4月から実施されることになりました。
3つの水準があり、それぞれに異なる時間外労働の上限規制が適用されます。通常の医師は年間960時間以下(A水準)、地域の救急(B水準)や研修期間内(C水準)などでは2倍近い年間1860時間までの残業規制が行われます。
新たに罰則も設定され、場合により懲役刑に処される可能性もあります。また長時間の連続勤務を防止するため勤務間インターバルという休憩時間を設けることが義務化されました。今まで過酷な条件下で奉仕的労働を強いられてきた医療従事者としてはもろ手を挙げて歓迎されるべき事態です。
がしかし、法律の中身をみていくと、実は骨抜きにされる可能性が高いと私は踏んでいます。

 

一つ目が「宿日直許可」です。法律により病院には宿当直の医師が必要です。今までも当直明けの寝ずの手術、外来などその悲惨さが繰り返し伝えられてきました。しかしこの当直、病院が労働基準監督署の許可をとれば超過勤務としてカウントされません。それが「宿日直許可」と言われる手続きです。「断続的な宿日直」に限って付与され、「十分な睡眠がとれること」「通常の勤務時間の拘束から解放されていること」などの条件もあります。
ただ「特殊な処置を必要としない軽度または短時間の業務」については問題がないとされており、その中には急変時や少数の外来患者の問診や対応なども含まれています。
つまりまったく業務から解放されるのでなく、割合頻繁に起こされそうな状況も考えられるわけで、それを「超過勤務外」とされるのにはかなり違和感があります。この宿日直許可という制度、非常にあいまいさを残しており、場合によっては時間外勤務の隠れ蓑になると考えています。

 

勿論、当直における肉体的、精神的負担は科目や病院によって大きく差があります。本当に寝ているだけの当直も昔は結構あったかと思います。ただ、2021年144件、2022年233件だったのが2023年には1300件以上申請されている状況から考えると、多くの病院がこの制度を利用しようとしていることは確かです。問診とはいえ、場合によっては命に係わる判断をせねばならないわけで、多くの医師がそれで神経をすり減らしているわけです。それを単純労働として時間外勤務とみなすのはあまりに乱暴ではないでしょうか。

 

今回は「宿日直許可」についてお話ししましたが、「兼業規制」、「自己研鑽」、「オンコールの取り扱い」などまだまだ懸念があります。次回以降もこの問題についてお話ししていこうと思います。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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