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電子版 慈恩33号
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強度近視における緑内障の新しい治療法

緑内障は発症率が高く、40歳以上の約5%(20人に1人)が病気にかかると言われています。特に強度近視の方ではそのリスクが高く、多くの方が視野障害や視力喪失に苦しんでおられます。視野障害はなんてことないとお思いの方もおられるかもしれません。確かに上方障害(視野の上部が見えにくくなること)の場合は、老化による眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる病気)もあり、あまり苦になることがないようです。

しかし、下方障害(視野の下部が見えにくくなること)の場合は、坂や階段の降りることが非常に不便になります。特に足腰に不安のあるご高齢の方では、大きな怪我をして寝たきりにもなりかねません。近視が多い我が国では早期発見の見逃しのリスクが高く、油断できない病気です。

治療について

治療には降圧点眼剤を用いますが、効果は見られない場合は複数の点眼薬を併用する場合があります。その際、コンプライアンス(服薬・用法遵守)やQOL(生活の質)の障害が問題となります。重症の場合には手術となりますが、合併症のリスクも高くなります。

そこで最近注目を浴びているのが、「選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)」です。眼の中にある水を排出する線維柱帯にレーザー照射し、活性化させて眼圧を降下させます。[図1] 

当院では、日本緑内障学会の指導のもと全国研究「正常眼圧緑内障に対する第一選択および第二選択治療としての選択的レーザー線維柱帯形成術の有効性および安全性に関する前向き介入研究」に参加しています。

SLTが点眼剤にとって替わることができれば、煩雑で高価な点眼剤治療を減らすことができるだけでなく、手術を回避することも可能で、まさに一石二鳥です。

特にSLTが有効なるのは、すでに点眼剤を使用していて、視野進行や副作用によりふたつ目の追加を検討する場合や、点眼剤の中止を考慮する場合です。
SLTの欠点としては、3割負担で3万円程度の施術代がかかりこと、また結膜充血、眼内炎症などの合併症を伴うことがあることです。そのため医師と十分に相談し、納得の上治療をうけることになります。

 

当医院では緑内障と専門的SLT外来を行っています

当院では土曜午前にSLTの第一人者である福井済生会病院の新田医師による緑内障と専門的SLT外来(予約制)を行っています。点眼剤で安定的に効果が得られない患者さんがおられましたら、是非ともご相談いただければ幸いです。

 

医療法人恭青会
理事長 生野 恭司 
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