白内障の手術は、ここ30年で大きく進歩しました。
現在の主流は、傷口が小さく目の負担が少ない超音波乳化吸引術という方法で行います。
まずは、局所麻酔(目薬による麻酔)をします。
麻酔がよく効くように、数回に分け、時間をかけて麻酔薬を点眼していきます。これは時間がかかるため、手術室に入る前に行います。
手術の10分程前に手術前室へ案内します。ここでは、簡単な着替えと心電図のモニタ装着や直前の血圧・血糖測定を行い、ソファに座ってリラックスしながら手術を待っていただきます。
手術室に入ると手術用の椅子に座ります。この椅子は美容院のように背中が倒れる構造で、手術は寝た体勢で受けます。
手術の際は消毒薬や麻酔薬など頻繁に目の表面に水がかけられたり、顕微鏡を使用するため少々まぶしく感じます。
手術の最初は角膜を2-3mm程度切開し、その箇所から超音波器具をいれます。水晶体を超音波で砕いて吸引し、その後眼内レンズを挿入して固定します。
以前、この眼内レンズは6~7mmの大きさの硬い素材でしたので、レンズを挿入できるだけの幅の切開が必要でしたが、現在はアクリル素材のため、折りたたんで挿入することができるようになり、切開幅を最小限に抑えることができます。
今では約5分程で手術を終えることができるようになり、術後の乱視が減り、視力の回復も早くなりました。(合併症がある方の場合は必ずしもこの通りいかないこともあります。)
以前に比べるとずいぶんと手術のハードルが下がり、目や全身合併症がある方にも安心して手術が受けられるようになりました。
次回は今回お話しした眼内レンズの種類についてお話していきたいと思います。