今回は、【新型コロナウイルス感染症と眼科について】お話しします。
新型コロナウイルスは通常、呼吸器感染症から発症し、咳(せき)や痰(たん)、高熱や倦怠感を訴えます。
眼科医からの視点としては結膜などの粘膜から感染し、結膜炎を生じる可能性もあります。
これはインフルエンザなど他のウイルスにも言え、咽頭炎、気道炎を併発しながら、結膜炎として来院することもたびたびあります。
新型コロナウイルスに感染しているにも関わらず無症状の方もいるので、そういった患者様が結膜炎のみを訴えてくる場合もあると思います。
ただ、従来のウイルス性結膜炎と新型コロナウイルス結膜炎を鑑別することは不可能なため、結膜炎の患者様を診る場合はコロナウイルスの危険を念頭におきながら行わなければいけません。
感染経路は飛沫感染か接触感染です。飛沫感染の場合は、感染者の咳などが目に入ることで移ります。そのため、いくの眼科では細隙灯検査の際に、目や口に飛沫しないように顔面シールドやクリア板の設置を行っています。
次に、接触感染を防ぐため、患者様を診察する際は、手袋・マスクはもちろんのこと、接触部位の消毒や診察後の手洗いを必ず実施しています。
しかし、不特定多数の患者様が出入りする眼科外来から100%感染を防ぐことは不可能です。コロナウイルスが沈静化するまで、できるだけ来院を見合わせ、必要な場合は電話再診で薬の処方を行うのが理想です。
今まで対診に重きを置かずにいた日本の医療現場ではとても厳しい状況ですが、それでも患者様とスタッフを守るためには必要でしょう。
いくの眼科では、目に不安を持つ多くの患者様が来院されており、その中で自粛と診療のバランスを取る状況が続いています。
休診や閉鎖は今のところ行う予定はありませんが、午後の外来時間を短縮しています。手術は予定通り行っていますが、今後、行政の指導によって制限が加わる可能性もあります。現にいくつかの国・地域では医療資源を集中させるため眼科手術の中止・延期命令が出ています。今回の流行はかなり長期に及ぶことが懸念されていますので、今後は新型ウイルスの活動性と趨勢をみながら診療体制を合わせていくことになりそうです。