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秋冷さわやかな季節となりました。
日増しに冷え込みが増す時節柄、くれぐれもご自愛ください。

さて、今回は「医療費削減の毒薬処方箋」についてお話しします。

令和4101日から75歳以上の方の一部で医療費の窓口負担割合が2割に変わりました。団塊の世代が高齢者となり始める中、現役世代の負担上昇を抑えつつ全ての世代の方々が安心できる「全世代対応型の社会保障制度」を構築することを目的として昨年決まったものです。

本措置による給付削減額は1000億円程度と見込まれていますが、すでに総額40兆円、毎年1兆円ずつ増加している医療費の前では焼け石に水の感が否めません。

膨張する医療費削減の議論はこれまで牛歩のごとくでした。抵抗勢力があまりに多く、どこに負担増加を求めても頓挫する可能性が高いと思われます。どうすれば削減できるのでしょうか。

 

一番簡単な方法は診療報酬を減額することです。しかしながら、資源高に起因するインフレ圧力は世界中で深刻です。欧米では恐ろしい勢いで値上げが続いており、日本でもインフレ基調が続くことは間違いありません。そのなかで診療報酬を減額することに対して理解を得るはかなり難しいでしょう。

ではどのようにすればいいのでしょうか。診療報酬そのものを下げずに支出を(実質)下げる方法がないこともないのです。

 

ひとつはインフレ誘導です。世界的に金融引き締めが行われる中、日銀だけ緩和政策をとりインフレ容認です。日本は長きにわたりデフレに苦しめられたため、理解できないことはないのですが、実際は国債利率が高まると日本全体が不良債権化する恐れがあるために利上げを行わないという意見もあります。インフレになれば報酬を下げずとも据え置くだけで実質的な削減となります。

 

もう一つは意図的な査定(※)増額です。例えば毎月請求できた検査を値下げするのではなく、3か月に一度しか認めないなどです。通常の医療機関では査定額は全請求額の0.数%までと考えられています。これを増額して例えば2%程度に引き上げることで、年額8000億円の削減になります。もちろん保険診療の信頼や赤字に苦しむ病院などには存続に関わるつらい方法ですが、今現在でも査定は増加していると肌で感じており、今後も継続される選択肢だと思います。

 

増税や保険料値上げなどほかにも取りうる選択肢はありますが、先述の2つはステルス的に取りうる手段でもあり、抵抗は割合少ないのではないかと思っています。

医療費削減は喫緊の問題ですが、このような姑息的な方法は、医療の質の劣化を招くだけだと思います。必要なものと必要でないものを区別するなど正攻法のオープン議論で方向性を決定してほしいものです。

※査定は、医療機関の請求に対し、審査側が不適当と判断した項目の内容を修正(減額・減点など)し、調整された額で支払いが行われることをいいます。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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